帯津先生のつぶやき

がんという病気は体だけの病ではなく心にも命にも深くかかわる人間まるごとの病なんですよ。ここはどうしても体・心・命が一体となった人間まるごとをそっくりとらえるホリスティック医学を持ってこなくてはならないのですよ。こんな簡単なことをどうしてわかってもらいのかなあ。

ホリスティック医学を求めて30年。日暮れて道遠し。西洋医学(からだ)、各種心理療法(こころ)、そして代替療法(いのち)のなかから選びだした戦術を統合して、その患者さんに相応しい戦略を提案することによって理想のホリスティック医学に迫ろうとしているのが現状。まだまだ道の最中ですよ。

ホメオパシーのことも多少は知っていた。しかし、代替療法の一つ、ワンオブゼムにすぎないと思っていたので特別な関心を抱いたことはなかった。ところがある日突然、これほどホリスティックな医学はないと悟ったのである。いまではわが対がん戦略になくてはならないものになってしまったのだ。

私がホメオパシーの勉強をはじめたことを知った3人の入院患者さんがホメオパシーの治療を受けたいと申入れてきた。でもまだ修行中の身だからと断ると私たちの病状は待ったなしですよと真剣な表情。・・・わかった。それではと無料で始めた。この無料が効いた。燎原の火の如く院内を席巻して行った。

いくらホメオパシーがホリスティックな医学だからといっても、がんの治療にこれを単独で用いることはない。あくまでも戦略の一環としてである。それにしてもホメオパシーが加わって、わが対がん戦略に厚みが出て来たことはたしかである。どう厚みが出て来たか。それは次回のお楽しみといこう。

戦略に厚みが出て来たことの第一は、がん患者さんというものは一度に多彩な症状をあらわす。たとえば頭痛がして口内炎ができて咳が出てお腹が痛い。その上にはむくみという具合にである。これを対処するには西洋医学はたくさんの薬が必要なのにホメオパイーならアルセニクム一つで足りてしまう。

ホリスティックながん治療におけるホメオパシーの役割として強調しておきたいのが、その心に対するはたらきである。まずは死の不安。これを和らげないことには免疫力も自然治癒力も半減してしまう。そのためのレメディはアコナイト、アルセニクムを筆頭に多士済済。じつに心強い味方ですよ。

それから生きる悲しみ。生きとし生ける者、胸に悲しみを抱いて健気に生きているわけですが、がんの患者さんというものはとりわけ悲しみが深いものなのです。その悲しみを癒すためにたくさんのレメディがあります。オーラム、カルシーノジン、コースティカム、イグナシア、ナトルム・ムリアティクムなど

次は怒り。何に対する怒りだと思いますか。病という境遇に対する怒り、そうした自分に対する怒りも珍しくはありませんが、いちばん多いのが医師に対する怒りなのです。こうしたときはスタフサグリアなのですが、医療が本来の温もりを取り戻してくれれば、何も問題ないことなのですよね。

ホメオパシー単独でがんに立ち向かうことがないといっても、抗腫瘍効果がまったくないというわけではないのですよ。がん細胞を原料としてつくられたレメディ、たとえばカルシーノジンとかスキライナムを使用した途端、あるいは力価を上げた途端に腫瘍マーカーが下降することだってあるのですよ。

ホメオパシーが科学的根拠が乏しいといって非難されたことがありました。しかしこれはよく考えてみると、決して正鵠を得ているとは言えないことなのです。なぜならばホメオパシー代替療法の一つです。代替療法は多かれ少なかれ心や命にかかわる治療です。科学的根拠が乏しいのは当然なのですよ。

こころやいのちを解明していない現在、代替療法が科学的根拠に乏しいのは当然なのですよ。これは代替療法の責任ではなく未熟な科学の責任です。代替療法は胸を張って科学的根拠については大いにこれを尊重し、不足の部分は直観で補っていけばよいのです。科学と直観の統合ですよ!

直観と論理、つまり右脳と左脳です。両者が一体となって豊かな人生を作っていくのです。片方だけが良くて他方はいらないということはないでしょう。エビデンスエビデンスと囃し立てるのではなくエビデンスも大事なら直観も大事と両者を統合していけばいいんですよ。

そのエビデンスと直観の統合を目指して9月に奈良でわが国では初めての第67回リガ国際ホメオパシー医学会が開かれます。9月12日(水)14時から16時。京都で市民公開講座が開かれます。場所はメルバルク京都。入場無料。ホメオパシーに関心のある方は是非ご参加ください。草笛光子さんも出席。

もう一度お誘いします。9月12日(水)14時から16時。京都でホメオパシーに関する公開講座が開かれます。場所は京都駅前のメスパルク京都。日本ホメオパシー医学会の川嶋朗理事の講演に草笛光子さんと私の対談です。入場は無料。きっと楽しい会になると思います。

おかげさまで第67回国際ホメオパシー医学会は大成功でした。海外からの皆さんはすっかり奈良を気に入ってくれましたし、国内からも予想を超えてお集まりいただきました。私のつぶやきも多少を役に立ったのではないでしょうか。ということでつぶやきはこれで終わります。ありがとうございました。